マンガ版「君たちはどう生きるか」
80年前の1937年に刊行された児童文学がマンガ化され、現在、異例のヒットを遂げているということで、今回読んでみました。
この本の舞台は、昭和の時代。
貧困格差が激しく、人々は生きることに必死な時代。
ちゃんとした教育を受けられるのは、ほんの何割かという時代背景です。
そんな時代背景の中、主人公のコペル君(15歳)が、日頃のさまざまな出来事から、人としてどうあるべきかということを学んでいきます。
この本は、全てが漫画で構成されている訳ではなく、コペル君が出会った日々の出来事(いじめ問題や貧困問題など)は漫画で描かれ、さまざまな出来事に立ち向かうコペル君に対して、叔父さんが手紙を書いて、コペル君の考えを導き出してくれますが。
この手紙の部分は、活字で描かれており、漫画だけでは薄っぺらい内容になってしまいそうなものを上手く補足してくれています。
この漫画と手紙の部分のバランスがとても良く、すっと内容に入り込めるため、小学生でも十分に理解できる内容になっています。
そして、この本を読んでみて、感じたこと。
それは、人としてどうあるべきかということに関しては、今も昔も変わらないということ。
いや、変わって欲しくないというのが正直な気持ち。
食べるのに困らない、何不自由ない現代においても、人としてあるべき姿は変えてはなりません。
そして、そのことを親として、しっかりと子どもに伝えていきたい。
親として、子どもに伝えたいことがぎゅっと詰まっている。
勉強ができることよりも、まず人間として大切なことを教えてくれる、そういった本です。
しかし、親が子どもに道徳的なことを伝える時、どう伝えて良いのか困ります。
この本は、叔父さんが甥っ子に親代わりとなり、人として大事なことを伝えていく過程が描かれている本ですので、親として、子どもにどう伝えていくべきか、何を伝えなければいけないのかをこの本が、しっかりと教えてくれます。
そして、子どもに伝える前に、まずは親としてどうあるべきかも教えてくれます。
そんな考えさせられる本。
まずは、親である大人が読むべき本であると思います。
そして、子どもも一緒に読み、お互いに感想を伝え合うというのも良いですね。
読んだ本の感想を述べ合う形だと、かしこまった道徳的な話も、難しく考えず、気軽に話しできるのが良いところ。親として伝えたいことだけど、難しい話だと子どももなかなか受けれ入れてくれない。そんな時にこの本が良いきっかけを与えてくれると思います。
我が家は、まだ息子が1歳と小さいですが、将来息子に読んでほしい1冊として保存しておきたいなぁと思いました。
そして、親として将来子どもに伝えるためにも、もっとこの本を理解しておきたいと感じたので、やはり文庫本も読んでみようかなと思います。
▼こちらが文庫版